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やさしく、しみわたる。山田詠美『風味絶佳』

Posted at Tue, 01 May 2007 in book

風味絶佳

風味絶佳
山田 詠美
文藝春秋 / ¥ 1,290 (2005-05-15)
 
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あとがきを読んでようやく、この本をまとめあげていたテーマに気がつきました。
あまりにおいしそうな描写ばかり続くのですっかりそっちに気がとられて、おいしいものの短編集かとばかり思っていたのです。

映画にもなった表題作『風味絶佳』は映画とはだいぶ物語が違います。でも主人公のグランマ、フジコさんのイメージだけはとても共通。あとはみなキャラクターがすこしずつ、映画と小説とで違う。どちらが良いとかではなくてどちらも良いです。

どちらを先に…と迷った場合、映画のキャスティングを見てから考えると良いかもしれません。どちらが先でもいいんですけど、私は主役の俳優のファンなので、とりあえず彼のイメージで先に見たい、ということで先に映画を見ました。



大型駅伝青春小説・三浦しをん「風が強く吹いている」

Posted at Sat, 14 Apr 2007 in book

風が強く吹いている
三浦 しをん
新潮社 (2006/09/21)
売り上げランキング: 4191

直木賞作家、三浦しをんの受賞後第一作、「風が強く吹いている」を友達に借りて読みました。
すごくひきこまれてぐいぐいと最後まで一気に読んじゃいました。三浦しをんすごい。

素人がほとんどのチームで箱根駅伝を目指す、というシンプルなストーリーなんですが、がんばれ!ってこぶしを握りしめながら読み進めてました。読みごたえのある青春小説です。小説世界にどっぷりひたってしまいました。



精密な筆致が怖い・・・カズオ・イシグロ『私を離さないで』

Posted at Thu, 12 Apr 2007 in book

わたしを離さないで
カズオ イシグロ
早川書房 (2006/04/22)
売り上げランキング: 1443

梅田望夫氏のこの日記を見て気になっていた カズオ・イシグロ氏の『わたしを離さないで』を読了。いわゆるホラー小説…怖がらせようとしている小説とは違うのですが、怖い。ぞくぞくっとくる怖さがありました。それはたぶん氏の筆力、そして訳者の力によるところがおおきいのではないかと思います。過度に抑制された文章が放つなんとも言い難い空気があります。

だから本当に怖いのは読んでいる瞬間よりも、そのもっとずっとあと。ふっとある瞬間にこの小説のことを思い出してしまったときではないでしょうか。

濃密にリアルな…リアルすぎる別の世界を味わうことができる作品。ぜひぜひ、一気に読み終えるだけの時間をもって読むことをおすすめしたいです。



サン・テグジュペリ著、倉橋由美子訳「星の王子さま」

Posted at Tue, 05 Sep 2006 in book

子供の頃にだれしも一度は読んでいるような名作、というのを結構すっとばしてきている気がするのですが(この名作自体が大人の陰謀なのかそれはよくわかりません)たぶんそのリストに入っていそうな本を読みました。

サン・テグジュペリの「星の王子さま」です。

こういう有名な本を読むと、自分の中に「たぶんこういう本だろう」というのがとてもはっきりしていたというのがわかってちょっと面白いです。いろいろな所で語られる文章の断片から私なりの「星の王子様」が作られていたということで、なーんだ、舞台はここなのか、とまずはそこにがっかりしました。次に思ったのは「えっ。王子様以外の人も出てくるんだ」ということ。王子様しかいないのかと思ってました。花が出てくるのは知っていたので、私の思い込みの「星の王子さま」はこんなかんじです。

でもいちばん意外だったのは、これが「大人による大人のための物語」であるという注釈が著者によって入れられていたことかもしれません。それと挿絵がすごく良かったこと。

新訳 星の王子さま 私が持っているのはハードカバーですがいつの間にか文庫も出ていました。1年経ってないような気がするんですが、早いなぁ。



『青空の卵』

Posted at Tue, 27 Jun 2006 in book

青空の卵 (創元推理文庫)

青空の卵 (創元推理文庫)
坂木 司
東京創元社 / ¥ 780 (2006-02-23)
 
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ひきこもりプログラマの探偵、という設定にひかれて『青空の卵』を買いました。なんか設定がいまいち活かされていないような…ひきこもりのわりに外出しているし、プログラマというのもほとんど役に立っていないのでこの点に関しては期待はずれだったのですが、別の意味で衝撃がありました。この男2人の関係はなんなんだろう……という大きなクエスチョンです。

ある意味依存しあっているともいえるような気がしますが、ただならぬ依存といった様相を呈しています。こんな関係は他の小説では見たことがありません。かなりおかしい。一見恋人同士のようにすら見えるのですが、とくにそういう関係というわけでもなさそうです。

物語としては日常探偵系のミステリ小説で、語り手であるごく普通のサラリーマンが巻き込まれる(あるいは首をつっこむ)ありふれたようなささやかな事件を、ひきこもり探偵が美味しそうなご飯とともに解決してゆきます。

小説全体に漂う中途半端なリアル感が逆にライトノベルのような軽い印象を与えるのがなんだかもったいない。もっと小説らしい文章で読みたかったなぁ、とそれがとても残念です。

続編が出ているようなのでとりあえず今度はそれを買ってきます。
加納朋子さんのような世界観(「ななつのこ」とか)が好きなひとは多分一読の価値はあるんじゃないかと。



斉藤美奈子『冠婚葬祭のひみつ』

Posted at Tue, 13 Jun 2006 in book

冠婚葬祭のひみつ (岩波新書)

冠婚葬祭のひみつ (岩波新書)
斎藤 美奈子
岩波書店 / ¥ 777 (2006-05-12)
 
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岩波新書なのに冠婚葬祭。冠婚葬祭なのに斉藤美奈子。なんだか異色の取り合わせにひかれて購入してしまいました。斉藤美奈子『冠婚葬祭のひみつ』。ちなみにこの『ひみつ』は学研マンガ「ひみつシリーズ」に由来するそうで、日本古来の冠婚葬祭の裏をアバく、的な「ひみつ」ではありませんでした。

本書は3章に分かれていて、現代の冠婚葬祭がどのようにして成立したかの歴史や来歴をひもとく第1章「冠婚葬祭の百年」、結婚情報誌が喧伝する現代の結婚の演出のありようについて語られる第2章「いまどきの結婚」、葬式費用から永代供養の話まで人生の終焉にまつわる第3章「葬送のこれから」から成り立っています。
第1章だけはややお勉強的な知識満載の章で、マナーブックが現代の冠婚葬祭を作ってきたとかこれはこれで興味深いのですが、2章、3章がけっこう実用的で、

なんていう感じに、お金の話がとても具体的に出てきていたりします。
他にも結婚の章では事実婚について、夫婦別姓について。葬送の章では家族葬や密葬、自然葬(散骨など)の話や葬儀社選びについてなどなど、かゆいところに手が届く式に日本の冠婚葬祭(の婚と葬)について書かれています。

著者名からもっと突飛な本かと思っていたらその期待は裏切られましたが、良い本でした。



The Non-Designer's Design Book

Posted at Mon, 15 May 2006 in book

ノンデザイナーズ・デザインブック Second Edition

ノンデザイナーズ・デザインブック Second Edition
ロビン・ウィリアムズ
毎日コミュニケーションズ / (2004-02-28)
 
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なんだか最近印刷して配布するものを作ったりする機会が多いので、『ノンデザイナーズ デザインブック』を買いました。
デザインのとても基本的な原則が簡潔にまとめて書いてあります。例が図表で沢山書いてあるのがとてもわかりやすかった。そして図が多いので読むところもそんなになくてさらさら読めてしまいます。

おおまかに「デザインの原則」と「活字でデザインする」の2つのトピックから構成されていて、前半はデザインの4原則、つまり

について丁寧に説明してあります。

後半の「活字で~」のほうはタイポグラフィの使い方に関する説明なのですが、前半と比べると結構踏み込んだ内容になっているような気がしました。

活字を使うときに気を使うべきことは3つ。

そして、

という4つの書体を見分け、意識的にこれらの書体を選択する方法についてが説明されています。
もとは英語なので当然タイポグラフィについても欧文の説明ばかりなのですが、「和文のための捕捉」が書き足してありました。

本当は高めの本だというのもあって店頭で見てから買いたかったのですが、どこに行っても見つからなかったので思い切って Amazon で買いましたが、買ってアタリの一冊でした。