朝寝して宵寝するまで昼寝して時々起きて居眠りをする
広告代理店勤務の主人公の、仕事、恋愛、そして生き方が語られるコミック。全10巻。
これを読んでいて私は何度もしんどい、とか息苦しい、とか、そういうことに近いような感情を抱きました。主人公の仕事への打ち込みがあまりに真剣で一生懸命すぎて、無言のうちに「私はこれでいいのか」というのを問われてしまったように感じたからです。
おそらくそれを思った原因はこのマンガのあまりにリアルな作り込みに拠るものが大きいような気がしました。作者がかつて働いていたという広告代理店という舞台での仕事、そして仕事をしてゆく上での細かなディティールがさりげなくしかしきちんと地に足をつけたものとして描かれています。
おかざき真里独特の画面構成の美しさ、線の美しさ、カラー絵や本の装丁の美しさ。無駄でも過剰でもなく必要十二分にとられる「間」の空気感。マンガとしてものすごく圧倒されます。こんなものに真っ向勝負で来られて、良いものに出会えたと思わないわけがないのです。
特にカラー絵の雰囲気のある美しさは、これだけでイラスト集を出して貰いたいぐらい。出たら思わず買ってしまいそうです。
そして濃密に描かれるストーリー。主人公はあくまでヒロインとして、けれどそれ以外のキャラクターにもきちんと物語があることが描かれています。
おかざき真里氏は今、子育てしながらマンガを書いているそうです。だからカラーイラストは全部コピックというペンで塗っているとどこかで読んだ記憶があります。ペンならいつでもはじめられて途中でも止められるから、というのがその理由だそう。広告代理店に勤めているときもマンガを描いていたそうです。そのバイタリティがヒロインに色濃く投影されているように思いました。
「こんな風にだったら」。「こうはなれない」。「こういう気持ちってあるなぁ」そんな風に自分と比較しながら、ではなくこの物語を読むことができたらそのほうがもっと面白く読めるのでしょうか。それは私にはわかりません。
十年くらい前に読んだのを引っぱり出してえいえいと読んでいたのがようやく読了。以前読んだときは見合いばかりしている話だという印象が強かったのですが、読み返してみるとそこまで多くはなく(それでも少ないということはないけれど)、どちらかというと幸子、雪子、妙子の、四姉妹の内の三人の女たち(残りの一人は長女の鶴子ですが他の三人と比べてあまりに出番が少ない)の人間らしい生々しい生態を、きらきらしい出来事や雅やかな衣をまといつけつつもどこか執念深い筆致でもって綴っていて、同じ作者の『卍』などにも通じるようなものがあるような感想を持ちました。
というのは物語の冒頭から語られる姉妹の『B足らん』(ビタミンB欠乏症)であったり、幸子の妊娠であったり、見合いの度に取りざたされる雪子の目の縁のシミであったり、さらには幸子の娘の悦子の猩紅熱や妙子の大病であったりするのですが、彼女たちの身体のことについて実に事細かに書かれています。たぶんこれを年表にでも書き付けながら読むとそれはそれでおもしろくもなりそうですが、年に似合わぬ若作りで華やいだ旧家の姉妹をこの世に誕生させておいて、金襴緞子の絵巻物ですまないところがこの小説のひと癖もふた癖もあるところではないかと思います。
シリーズ当初のヒロイン福沢祐巳のお姉様、小笠原祥子様が卒業して、物語が一区切りついたので『マリア様がみてる』まとめ読みしました。さすがに最初からは大変なので、途中から…と思ったらあまり切りが良くなかった。やっぱり最初から読めば良かったなぁ。
金平糖のたくさんつまった可愛らしい包みのようなストーリーです。
以下読んだ分だけメモ。スピンアウト『お釈迦様もみてる』は、弟の福沢祐麒が主役ですが、少女レーベルらしく必ず表紙に祐巳がいます。
このエントリを書くにあたって マリア様がみてる - Wikipedia を参照したのですがこの記事はシリーズの途中から ISBN がすべて間違っているようでした。
桑田乃梨子は私が作家買いするマンガ家の1人です。ゆるゆるエッセイなのでお風呂の友などにおすすめ。日常ごとをつらつら描いたマンガです。書き下ろしあり。
似たようなテイストのエッセイコミックとしてこっちもおすすめです。愛猫にょろりとの出会い編も収録。
友人が貸してくれたので、東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~を読みました。
全体的に淡々とした文章で、時系列もそれほどきれいに並んでいるわけでもなく、思いついたままに書いたような小説だと感じましたが、それでも若干セピア色がかっていて、リリー・フランキーの見たそのままの風景だということは本当によくわかりました。
お酒の名前にもなっている『百年の孤独』を読んでガルシア・マルケスの壮絶さに???となってしまったのですが、新潮社から装丁が素敵なコレクションが出ていたのでやっぱりマルケスを読みたいと思って、ちくま文庫『幸福な無名時代』に手を出してみました。
『百年の孤独』は長編小説ですが、こちらはマルケスが記者をやっていたころのルポルタージュ集。ルポルタージュなのですがところどころフィクション的なそれも含むという不思議な様相を呈していました。
それでもとても読みやすいし、マルケスの入門としてとても読みやすいのではないかと思います。