朝寝して宵寝するまで昼寝して時々起きて居眠りをする
広告代理店勤務の主人公の、仕事、恋愛、そして生き方が語られるコミック。全10巻。
これを読んでいて私は何度もしんどい、とか息苦しい、とか、そういうことに近いような感情を抱きました。主人公の仕事への打ち込みがあまりに真剣で一生懸命すぎて、無言のうちに「私はこれでいいのか」というのを問われてしまったように感じたからです。
おそらくそれを思った原因はこのマンガのあまりにリアルな作り込みに拠るものが大きいような気がしました。作者がかつて働いていたという広告代理店という舞台での仕事、そして仕事をしてゆく上での細かなディティールがさりげなくしかしきちんと地に足をつけたものとして描かれています。
おかざき真里独特の画面構成の美しさ、線の美しさ、カラー絵や本の装丁の美しさ。無駄でも過剰でもなく必要十二分にとられる「間」の空気感。マンガとしてものすごく圧倒されます。こんなものに真っ向勝負で来られて、良いものに出会えたと思わないわけがないのです。
特にカラー絵の雰囲気のある美しさは、これだけでイラスト集を出して貰いたいぐらい。出たら思わず買ってしまいそうです。
そして濃密に描かれるストーリー。主人公はあくまでヒロインとして、けれどそれ以外のキャラクターにもきちんと物語があることが描かれています。
おかざき真里氏は今、子育てしながらマンガを書いているそうです。だからカラーイラストは全部コピックというペンで塗っているとどこかで読んだ記憶があります。ペンならいつでもはじめられて途中でも止められるから、というのがその理由だそう。広告代理店に勤めているときもマンガを描いていたそうです。そのバイタリティがヒロインに色濃く投影されているように思いました。
「こんな風にだったら」。「こうはなれない」。「こういう気持ちってあるなぁ」そんな風に自分と比較しながら、ではなくこの物語を読むことができたらそのほうがもっと面白く読めるのでしょうか。それは私にはわかりません。